岡山県西粟倉村のむらまるごと図書館

 村は、山あいを流れる川が生み出す平地に広がっている。近くを列車が走る。交通の便が良く、おだやかで住みやい場所に違いないと思わせる。
 
 豪雪地帯というが温泉がありスキー場も近い。四季の変化は美しいだろう。
 
 西粟倉村は、平成の合併を拒み自力の道を選んだことで知られる。

 村はどのようにして生き残りを図ってきたのだろうか。

 地域活性化の取り組みを見てみたいと思います。

 西粟倉村 (vill.nishiawakura.okayama.jp)
 
 

英田郡西粟倉村
(あいだぐんにしあわくらそん)

人口 1,335人 (推計人口 2022年7月1日)
財政力指数 0.13(2020年度)
智頭急行智頭線 西粟倉駅、あわくら温泉駅
村は山に囲まれ、吉野川流域の平地に広がる。
面積の約95%が森林。そのうち約9割を杉や檜などの人工林が占める。自然が残る若杉天然林(若林原生林)がある。豪雪地帯。

 

百年の森林(もり)構想

 約 50年前、子や孫のためにと村の人々が植えた木が森となった。今、この私有の森を村が預かり村の予算で効率的な森林整備を行うことにした。

 森の再生を通じた地域経済の活性化を目的に、木材の加工、流通を事業として展開したのです。

 そして、立派な百年の森林(もり)に育て上げていくために、あと50年、村ぐるみで挑戦を続けようと決意したのです。

 そのために、村の挑戦者(移住者)を募り、受け入れる態勢を整えてきた。多くのローカルベンチャー企業が立ち上がり、「起業家の村」として知られるようになった。

 村は息の長い循環型の地域社会を目指している。そして、大切な自然の恵みを大切な人たちと分かち合う上質な田舎づくりへと取り組んでいる。
 

  
 

むらまるごと図書館

左から、あわくら会館・あわくら図書館複合施設、会議場、村役場

 写真は、地元の木材を使って建てられた、あわくら会館・あわくら図書館、会議場、村役場です。

 西粟倉村立西粟倉図書館(にしあわくらそんりつにしあわくらとしょかん)は、2020年(令和2年)4月5日に開館し、名称をあわくら図書館としました。

 2022年7月時点で蔵書数は約42,000冊、うち児童書が約28,000冊。「お子さん連れの方におすすめの図書館です。」としています。

 この新しい会館・図書館に建て替えられる前は、「あわくら子ども図書館」でした。

 1960年代、西粟倉村に公共の図書館が設立されていなかったころ、個人宅で開いた「軒下図書館」という名の図書館(文庫)があったそうです。

 子どものころよく通ったという年配の方も多いとのこと。古くから子どもへ本を届けることに取り組んできた様子がうかがえます。

 現在は、むらまるごと図書館として活動を広げており、幼稚園、小学校、中学校との連携に加えて、診療所、ふれあいセンター、歯科医院、習字教室、温泉、スーパーなど、人が集まるところに小さな本箱を置いて、村じゅうで本が借りられるようにしています。

 それぞれに図書館長がいて、自分で選書します。また、自分の図書館を作ってみたいという図書館長も募集しています。

 子どもにうれしいだけでなく、村全体の活性化にもつながる取り組みです。
 
 

西粟倉村の人口動態
 

  
 戦後、住宅需要の増加によって林業従事者は増え森林の伐採が進みましたが、同時に子や孫のためにと村の人々は木を植えたのでした。

 当時全国的な建築ラッシュで木材が次第に高騰してくると、1964年の木材輸入の自由化を契機に、安い外国産の材木が使われるようになり、高い国産材は使われなくなってしまいました。

 林業従事者は次第に減少することとなり、西粟倉村の人口は、しばらくは横ばいを維持していたものの、2000年代に入ると日本の総人口が減少に転じたことから村の人口も次第に減少傾向となっています。

 平成20年4月のデータであるがWebに公開されている村の人口動態を見ると、転入者は毎年約50人台で転出者はそれよりやや多い程度。

 死亡者数は20人台で、出生数がおおよそ10人前後となっています。

 婚姻数も一桁の下の方の数字になってきており、やはり少子化対策が課題と言えます。

 森林資源を基にしたベンチャービジネスの創出を図り、村に仕事を作り出して生産人口を増やすことで人口減対策としてきましたが、今後はより積極的な移住政策が重要になってきそうです。

 西粟倉村には鉄道が通っており、田舎としては交通の便がかなり良いことが挙げられ、移住もしやすい村と言えるでしょう。

 西粟倉村在住のブロガーの発信状況を調べると、当地出身者よりも移住してきた発信者のほうが多かった。

 移住者ブロガーは、近隣の自治体からの移住がほとんどでしたが、村の思いに共感する挑戦者(移住者)がともに暮らしやすい村として、今後ますます発展することを願ってやみません。
 

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